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Romeoの雑記集

Romeoと申します。主に社会とかメディアとかメディアコンテンツについて思ったことをつらつら書いています。

「熊本地震」とマスコミ

はじめに

 2016年4月16日に発生(14日には同程度の前震が発生)した今回の「熊本地震」であきれる出来事があった。関西テレビの中継車が被災地のガソリンスタンドで割り込み行為を行い給油をしたという話だ。

ITmediaニュース、「被災地のガソリンスタンドで割り込み 関西テレビが謝罪」2016年4月18日閲覧

関西テレビ、「お詫びとお知らせ」2016年4月18日閲覧

 

  上述の関西テレビの問題だけでなくTwitter上にはマスコミ取材活動への不満等が投稿されている。その中からいくつか取り上げながら何が問題なのかについて整理しつつ、メディアの取り組みについても考察する。

 

取材ヘリコプターによる騒音問題

 ヘリコプターによる騒音によって睡眠が妨げられたり、救助活動が困難になることへの懸念がある。これに関しては個人的には疑問が多い。

 まず、報道機関の取材ヘリなどの民間機には航空法施行規則第174条で「最低安全高度」が設定されている。これによると最低高度は300mとなっている*1。また、国交省東京航空局が報道機関などの事業者に出した要請では、高度600m以上を維持することとされている*2。さらに放送、新聞各社はヘリによる騒音の問題に対し、ガイドラインや方針を決め対応している*3

 もう一つは民間機と自衛隊機との騒音のレベルの違いである。自衛隊だけ槍玉にあげてしまうのは忍びないが、エンジンは民間機とは比較にならない。また警察や消防のヘリも救助活動のために低高度を飛んでいる以上、騒音の面ではマスコミのヘリだけが問題とは言い切れないのではないだろうか?

 

メディアスクラムの問題

 メディアスクラム(集団的過熱取材)とは、「大きな事件、事故の当事者やその関係者のもとへ多数のメディアが殺到することで、当事者や関係者のプライバシーを不当に侵害し、社会生活を妨げ、あるいは多大な苦痛を与える状況を作り出してしまう取材*4」のことである。今回は被災地の避難所に報道機関が詰め掛けることで行政には取材対応によって事務的な、避難者の方々には精神的な負担をかけてしまうことがこれにあたるだろう。

 しかしこの点は線引きが難しいところではある。やはり全国紙と地方紙でも取り上げ方は違うし、そして記者によっても論点や取材によっての感じ方、表現が異なること、また海外からの報道機関も多く現地入りしていることも考えると総量としての記者の数は多くなってしまう。ただ多ければいいというモノでもないので、作業や物資輸送の「障害」になってしまう場合には、報道機関の間で地域ごとに取材を行う社を割り振るなどの調整を行う必要があるだろう。

 

メディアの課題と強み -朝日新聞社会部と有志の連携した取り組みを例に-

 震災などの自然災害が発生した時にメディア批判の一つに「必要なことを伝えてくれない」ということが聞かれる。僕はこれが一番の「マスコミ問題」だと考えている。理由は直接的に被災者を更に苦しめることになるからだ。しかし、編集部の中では「ニュースバリュー(ニュースとしての価値)」があるかどうかを考えながら、ニュースになるか、ならないかが選別されている。どんなに重要でも価値がなければニュースにはならない。これが「必要なことを伝えてくれない」という批判につながるのだろう。しかし、新聞には新聞の、テレビにはテレビの、ウェブメディアにはウェブメディアの「強み」がある。

 例えば、朝日新聞社会部の記者の情報をもとに有志の学生団体が避難所の一覧をGoogle Mapsマッピングし公開している*5。こうした取り組みは早い段階からそれなりの人数を展開できる大手のマスメディアが向いているだろう。またバズフィードジャパンでは英語版の記事*6や各国語版の避難情報を配信しているように、アメリカ発のメディアであるバズフィードならではの情報発信のあり方であると思う。

まとめ

 おそらくマスコミの問題点はこれ以外にもあるし、これから出てくるとも思う。ただ、今回の地震災害でも分かったようにマスコミは大切な情報源であるということだ。今回の地震災害は心ないデマが流れたが、「熊本地震」問わずこうした災害では必ずデマ情報が飛び交う。災害時にはマスコミの活動は叩かれがちだが、多くの記者たちが現地で取材しているのだから、どこかでは間違いなく必要な情報を発信している。情報インフラとしては欠かせない存在であるといえる。ただ、前述の通り、媒体によって取り上げ方や視点は違うし、各メディアの発信する情報には差異がある。こういう時こそ、一つのメディアだけでなく色々なメディアのニュースを見聞きすることが必要ではないだろうか?

 

(2016年4月20日に加筆、修正しました)

 

*1:最低安全高度は航空法施行規則第174条1項イ、「人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度」と定めている

*2:「ヘリコプター騒音の軽減について」、運行基準編(抄)第2章運行管理より

*3:日本新聞協会「航空取材要領」 日本民間放送連盟「航空取材ガイドライン」

*4:日本新聞協会「集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解」、2016年4月18日閲覧

*5:Youth action for Kumamoto(代表 塚田耀太)熊本県/大分県の避難所一覧、2016年4月18日閲覧、

*6:Bazz Feed NEWS、播磨谷拓巳、「Japan's Famous Hot Spring Town Has Been Damaged In The Earthquake」、2016年4月18日閲覧